
「怖い話でもしませんか?」
私が信号待ちをしていると、ある男がこう話しかけてきた。その男というのも、燕尾服に山高帽、左手にはステッキ、それでいて安っぽい匂いのするドーランを塗りたくった顔にアルセーヌ・ルパンのようなモノクルをつけた、擬古典風の紳士のようでもあり、モノクロ映画の道化師のような男でもあった。
信号が青になった。私はその男を見ないようにして歩き始めたが、男は私の後をつけ、回り込まんばかりの勢いで話を続けた。
「怖い話と言いましても、人によってそれぞれ怖いものは違っているんです。幽霊が怖いという人もいれば、雷が怖いという人もいる。はたまた、人間が一番怖いなどと言い出す人間も近頃は多くなった。それに…ふふっ、ふふっ。」
男の話が突然止まり、体が小刻みに震え始めた。彼の顔をちらりと見ると、蛇皮の手袋で口元を覆いながら笑いを堪えていた。
「それに…それに…ふふっ、ふはっ、饅頭が怖いなんていう人もいるのですから…。」
私が無視をしていることにも気づかない様子で話は続いた。
「いや、いや、これは失敬、失敬(咳払い)。話を続けましょう。こいつはある橋の下に住まう男、いわゆるホームレスの男から聞いた話なのですが…。ある冬の夜、その男が安酒を食らっていつものように橋の下で寝てしまうと、その夜は珍しく夢を見たそうです。夢の中でも彼は地べたで横になっていました。しかしそこは、砂漠。太陽が隠れてしまい、すっかり冷え切ってしまった砂漠なのです。すると、一匹の羊が彼の目の前に現れ彼に何かを言おうとしました。『あなたは自分というものをご存知?それとも…』ここまで話すと突然、厚い雲をかき分けてやってきたお月様が、羊の唇を塞いでしまったのです。男は、その月の横顔が誰かに似ていたと言います。しかし誰ともわからぬまま、とうとうあの橋から姿を消してしまいました…。」
次の交差点に引っかかった。赤信号に従って立ち止まると、その男も私のすぐ後ろに、背中にへばりつくようにして立ち止まった。ステッキの持ち手が腎臓の辺りをくすぐっている。
「どう、怖かった?怖かったでしょ?」
「…」
すると、男は少し語気を荒げて耳元で囁いた。
「大体、あなたは自分というものがわかっていないのです。今こうして、『私』などという一人称を使って話しているのかもしれませんが、誰があなたの姿を思い浮かべることができるのです?男なのか女なのか。身長は、年齢は?もしかするとあなたはシワまみれの老婆かもしれないし、平々凡々たる日本男児の生き霊かもしれない、はたまた善人のふりをした悪魔かもしれないし、欲望の搾り滓のような男かもしれないんですよ!」
私が何か言い返そうとすると、男は消えていた。
どうしても書くことが決まらなかったので、苦し紛れにこさえた即興三題噺です。お題は「橋の下、羊、怖い話」でした。
夜分遅くに失礼いたしました。おやすみ。
欣喜屋孔雀
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こんばんは。うどんです。ブログ書くのいつぶりだろう。新歓の前だから1ヶ月とかなのかなあ。そんなに経ってなくてびっくり。
新歓すごかったなあ。本当に苦しかった。必死だった。今になってようやく、私はやり遂げることができたのではないか…?と思っています。
あの新歓をみて入ってきてくれた新入生たちがあーだこーだ言いながら頑張っている姿を見て、嬉しかったり羨ましかったりします。学生生活、思う存分謳歌しようね。
入団はいつでも受け付けていますので稽古見学など興味ある方はDMまでどうぞ。歓迎します🙌
今、「二十歳の原点」という本を読んでいます。とある方の日記なのですが、自分はこの本を読んでいるとなんだか消耗するので積極的におすすめするわけではないかも。おすすめじゃないなら読んじゃおっかな〜〜?って人には読んでほしい感じする。
この日記が書かれたのは随分前だけど、この人は私のような気がする。一緒に演劇をしていたあの人のような気もする。昨日学食で正面に座っていたあの人のような気もする。母親のような気がする。
もし気になったら今月中に手に取るといいかも。
6月公演の稽古してます!!
今まで目を背けていたことと向き合っているので上回生の余裕なんかありません。役者みんなそれぞれ大きな挑戦をしてる。喰らいついていきたい。
6月17日と18日!是非。
話を聞かないうどん

眠〜〜い
最近たまにめちゃくちゃ大きい指に顔ごと押されてる感覚がして、
あんまり人の話に集中できてない時があります
それで小さいころこの感覚があって、
よくなってたな〜って思い出したんですけど
そういう系でもう一個いうと、
声低い人のささやき声が爆でかで聞こえてる気がする時があり
なんかどっちもお父さんのような気がしてるんですが、
お父さんなの〜?
おやすみ
あけみ
最近たまにめちゃくちゃ大きい指に顔ごと押されてる感覚がして、
あんまり人の話に集中できてない時があります
それで小さいころこの感覚があって、
よくなってたな〜って思い出したんですけど
そういう系でもう一個いうと、
声低い人のささやき声が爆でかで聞こえてる気がする時があり
なんかどっちもお父さんのような気がしてるんですが、
お父さんなの〜?
おやすみ
あけみ
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