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同志社大学を中心に活動する学生劇団、演劇集団Qの日記
おセンチかつポジティブに
2016年02月25日 (木) | 編集 |

野田からの卒業公演『センチメンタル・アマレット・ポジティブ』、無事終演致しました。
観に来てくださった皆様、お手伝いしてくださった皆様、そして何より、6週間私についてきてくれたQのみんな、本当にありがとうございました。

この芝居は私が高校生の時、性的な内容が省かれた脚本で、サン子役で一度やったことのあるものでした。
ですので、観ていただいた方にはわかっていただけると思いますが、サン子ちゃんが何に悩んでいたのか、当時はさっぱりわかりませんでした。なにせ、あの長台詞がまるまるカットされていたもので…
大学生になって、ふと「あの脚本が読みたい」と思い立ち、ネットで取り寄せて読んでみると、サン子ちゃんの気持ちが痛いほどわかりました。
もう一度この芝居をやりたいと思ったのはその時でした。
このお芝居の中の誰か一人でもいいから、その気持ちわかる、体験したことある、というような人がいたのなら、自身を重ねてみることができていたなら、幸いです。

彼女らが何に悩み苦しみ死を選んだのか。
それはきっと漠然とした何かで、芥川龍之介が言った「何か僕の将来に対する唯ぼんやりした不安」と似たようなものではないかと思います。
シローくんは一番繊細で、彼女らがこれからどういう道を選ぼうとしてるのか誰よりも早く気付いて、サン子が「遠いところに行きたい」という前に、チケットを渡しにきます。チケットが、シローくんの「死なないでくれ」という気持ちです。
彼は一度も「死なないでくれ」とは言いません。死ぬだろうとわかっているのに、言わないのです。
そして最後のシーン。どうなったのか、うすうす気付いているけど「もしかしたら」を捨てきれない。
そんな純粋で不器用で一生懸命な彼を、人は「マヌケ」と言います。

最後に、彼女たちは本当に死んでしまったのか、それを言及することはナンセンスだと思いますが、一つだけ言っておきたいことがあります。高校生の時、先生に教えてもらったことです。
もしかしたら、彼女たちは屋上に椅子を並べて、椅子の上から屋上の床の上に飛び降りただけかもしれない。
一回死んだことにして、翌日からまた新しい自分たちとして生きているのかもしれない。
「一回死んでみよっか」って、本当はそう云うことだったのかもしれない。
まぁでも、いずれにせよ、彼女らはそれを選んで何も後悔してなくて、希望を持って笑顔で翔んでいったのだ、ということです。

この作品が私の中でずっと引っかかっていて、こうして卒業公演で皆さんにこのお芝居を知ってもらえたように、皆さんの中でもこのお芝居がずっと残っていって、いつかどこかでふとした瞬間に彼女らのことを思いだしてもらえたら、と思います。
私は自死が悪いことだとは思いませんが、でもやっぱり生きてなきゃ何もできないですから。
「死にたい」気持ちは彼女らに託して、私はもう少し生きていようと思います。

本当に本当にありがとうございました。

脚色・演出:牧野知泉
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