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同志社大学を中心に活動する学生劇団、演劇集団Qの日記
【新入生向け】公演や劇団について【紹介第1弾】
2020年03月26日 (木) | 編集 |
こんにちは!
新3回生の山田世紀末です。
副座長やってます。今公演の演出やっています。だいぶ正直な人間です。
このブログは大抵新入生か身内が読むものだと思ってただいま書いています。


最初に。

新入生の皆様!
この度はご入学おめでとうございます。
運良く(運悪く?)このブログに辿り着いてくれた君はとても稀有な存在だね。ありがとう。
今年は様々な障害によりブースなどの新歓行事が出来なくて私たちとても残念です。

ですので、こちらのブログでは同志社大学で演劇をやるための留意点や概要をサラッと書いておこうかと思います。







↓いまから始まります↓

そもそも、同志社大学には現在4つの劇団があります。まず、今出川校地

同志社小劇場さん
第三劇場さん
演劇集団Q

そして京田辺校地

京田辺、劇団ないん会さん

の4つです。
各種それぞれ名前のところを押してもらえればTwitterに飛ぶようになっているので、気になったらどうぞ。

●小話●
今出川校地にある劇団は通称《新町》と呼ばれることが多いです。同志社大学の新町別館という学生サークル棟の名前から来ています。今出川校地の劇団の人が《新町》と言ったら大抵は、同志社小劇場さん・第三劇場さん・演劇集団Qを指すと思ってくれて間違いないよ。







次に、各種それぞれの作風を私目線で紹介していきます。(次は名前を押すと各劇団のホームページに飛ぶよ)


京田辺、劇団ないん会さん
1番新しい劇団さんです! 創作脚本も既成脚本も上演してらっしゃるので、恐らく自由度がとても高い!私が観に行ったことが無いので全然紹介できないので恐縮ですが、京田辺の君は是非ご観劇を!


同志社小劇場さん
基本儚い劇というか、人間の細かな情緒や美しい世界観を再現するのが上手な劇団だと思っています。劇団員も基本的に朗らかな人が多い印象です。新町3劇団では1番優しそう。穏やかそう。ホームページで各公演のゲネ(本番の前にある関係者だけの公演)写真を上げてくれているので、そちらを見るともっと分かりやすいかもしれません。基本は既成脚本がおおいそうです。


第三劇場さん
新町の中で1番創作脚本が多い劇団です! みんな我が強い! かっこいい! 劇団員さん人間人間それぞれの色が強いですね。脚本選びは白熱するそうです。過去には円形舞台をやっていたり、劇団員のそれぞれが技術力に長けている印象。自由に芝居したい! 自分の世界を再現したい! って方はオススメかもしれません。私はUMAって役者さんが好きです。


演劇集団Q
我らが愛しの演劇集団Qです。エロティック・アカデミック・バイオレンスをモットーにしております。この単語にビビッときた方はぜひ入団を!
過去には寺山修司や筒井康隆などの著名な作家陣の書いた戯曲を再解釈し上演したり、松尾スズキや野田秀樹などの演劇人たちの書いた生々しい人間模様を劇場に立ち上げたりなどしました。いわゆるアンダーグラウンドな作品を多く扱っています。今のところ創作脚本はあまり上演されていませんが、脚本は公演参加者の総意によって決まるのであまり気にしなくて結構です。
今回の公演が貴方の心にぶっ刺さるかどうかは分かりませんが、観客のハートを握りつぶす気持ちで私はこの劇団に入りました。
アンダーグラウンドとは反抗する意味を含みます。社会に盾つきたいそこの君! ぜひ入団を!





以上が劇団の紹介になります。
次に、上演までの大まかな流れをご紹介します。






●上演について●
今出川校地の3劇団は今出川校地にあるだけあって横の繋がりが強く、比較的同じような公演スケジュールを組むので今回はそちらを紹介します。ないん会さんに関しましては、実際に劇団員の方に聞いてみてください!


○上演回数○
新町では年に5〜6回公演を打っています。

・新入生歓迎(新歓)公演
・6月公演
・引退公演
・新人公演
・卒業公演

です。
なぜ6回になるかは後ほど説明致します。
以上の公演が、各劇団に与えられた年間の公演スケジュールです。この5回は変動することがありません。年間に5回も公演を打っている劇団はあまりないので、京都でも比較的多い上演回数になります。

1年間で打つ上演回数が多いということは、各公演1回の準備期間が少ないということです。新町では基本的に6週間で公演を作ります。舞台、衣装、小道具、演技などを6週間で準備するということです。結構タイトなスケジュールになります。その分濃い稽古がずっと続きます!



🌸新歓公演
新歓公演はその名の通り、新入生に向けた公演になります!現在絶賛稽古中です!4月〜5月に行われます。
🌸6月公演
こちらは6月〜7月に行われる、新入生の皆さんが最初に参加できる公演になります。役者としての基礎やスタッフワークなど初歩的なことから教えて貰えるにちがいない!
🌸引退公演
今までメインで活動していた3回生が引退する公演です。3回生たちはこの公演の後から本格的に就活が始まるので設けられています。
🌸新人公演
その年に入った新入生たちだけで作る公演になります! 同期だけで作る公演はいつもと一味違って楽しいですよ!
🌸卒業公演
就活を終えた4回生が新入生たちと一緒に出来る最初で最後の公演です。毎年実力ある4回生が帰ってくる公演なので、とても熱が入っています!






○上演費○
 劇団員の中から今回の公演に参加したい! と参加意思を示した方からお金を徴収し、公演を打つためのお金に使うという形を取っています。劇団に所属した際に年会費などとしてお金は基本徴収されません。
 上記のお金を《参加費》と呼び、役者なら1万円〜2万円、スタッフなら5000円〜1万円が相場になっています。公演の目標や舞台をどのくらい豪華にするかなどでこのお金は変動します。3劇団内でそこまで大きな差は無いので、どこかに所属するのであればここは避けられないと思います。
 ですが、無理やり公演に参加させるということは決してなく、あくまで公演参加意思を示した人達で公演を作るので「今回はお金が無くて……」「勉強に集中したくて……」という事情で“公演に参加しない”意志を示すことも自由です。




○プロデュース公演○
新町には夏と冬に《プロデュース公演》という公演があります。
これは、新町の3劇団(同志社小劇場、第三劇場、演劇集団Q)の中から好きな劇団員さんに企画者が声をかけて公演を打つ! というなんともワガママ満足公演なのです。企画者はそれぞれ3劇団の中からでるので、その劇団の名前をとって『演劇集団Qプロデュース公演』だとか『第三劇場プロデュース公演』だとかの名前をとります。これがあることにより、公演回数が5回から6回に増えるというわけです。







公演についてはだいたい以上です。
質問などございましたら演劇集団Qが質問箱を設置していますのでそちらまでお願いいたします!

スタッフなどの細かなことについては同志社小劇場さんのめはるくんがこちらのブログにざっくりと書いてくれてるのでみてみてください。




今回は新歓企画第1弾として大雑把な公演の流れを紹介させて頂きました。
次回はスタッフ作業などについて紹介していきます〜〜。
次回もよろしくね!




文責:山田世紀末
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演出後記(パウ)
2020年03月03日 (火) | 編集 |

演劇集団Qお前それゴルゴダでも同じこと言えんの?卒業公演『ジーザス・クライスト・スーパースター ~山に登りて笑え』
おかげさまで無事終演いたしました。
演出のパウです。

「良心教育、キリスト教主義を掲げる同志社大学で、キリスト教を題材としためちゃくちゃ不謹慎な芝居をやっちゃおう」
「お隣の同志社小劇場ご出身である筒井康隆先生の著作の中でもとりわけトリッキーな戯曲をQでド派手にやっちゃおう」
というコンセプトで企画した今回の公演。

聖書を間違いだらけの本と言ってのけるJ.Cのめちゃくちゃな演説とずさんな奇跡(日替わりでアドリブやお客様へのちょっかい満載のシーンになりました)、観客に配りながら歌った「J.Cカードを持ってるかい」というふざけ散らかした歌(おそらく「ジーザス・クライスト・スーパースター」へのオマージュでしょう)、今回役者が12人いなかったため一部の客席を最後の晩餐の席に変え、お客様(サクラではない)にもパンと葡萄ジュースをふるまいました。また、ユダヤ・テレビというカメラマンの小道具を映像中継してリアルタイムで舞台上に映し出し、J.Cへの突撃取材として朝まで生テレビが始まるかと思いきや律法学者との論争はリーガル・ハイになり、パンと葡萄酒は実はユダの血肉で怒涛のカーニバリズム(因みにJ.Cがユダの生首にキスをする演出はオリジナルのもので戯曲にはありません。裏切りの接吻の逆構図として面白いかなと思いました)、全裸監督を経て磔にされたJ.Cは放尿し、母マリヤはひとでなしと罵って泣き叫び、筒井といえばパプリカだろうと平沢進氏の音楽を爆音で流しながらのラストシーン、といったような内容の芝居でした。

さらに前座的な位置付けで、タイム・マシンを発明したと打ち明ける男とその友人が馬鹿笑いをして、数分前にタイム・スリップし、馬鹿笑いをする自分たちを見て馬鹿笑いをする筒井康隆先生の短編『笑うな』(本編副題の「笑え」との対応でもあります)と、客席を最後の晩餐仕様へ変える舞台転換の間に「新島襄先生のお面をつけた役者が孤独のグルメをする」というシーンも付け加えさせていただきました。

「全員誰かからメチャクチャ怒られてしまえばいいのに」というご感想を頂きましたが、本当にその通りだと思います。私もそう思います。

しかし、頂いたアンケートを拝読するに、ご来場いただいた皆様はおおむね驚いたり笑ったりしてお楽しみいただけていたようです。

自分が面白いだろうなあと想像していたことを役者がもっと面白く演じてくれ、それをお客様にも面白いと言っていただける、シンプルですが演出冥利につきるとはこのことと改めて実感いたしました。



今回の稽古ではキャスティング後の約2週間を座学に費やし、役者全員でキリスト教の成り立ちから勉強し、旧約聖書・新約聖書を読み、キリスト教を深く理解しようと努めました。
また、ペテロ・アンデレとヤコブ・ヨハネという2組の兄弟について、それぞれの人物に関するエピソードをもとにキャラクターを確立させ、役者陣には兄弟間の複雑な愛憎模様を深く掘り下げてもらいました。そして、母マリヤは清廉なイメージとはかけ離れ、保身に塗れた俗世的な人物として、逆にマグダラのマリヤは無垢な少女として演じてもらいました。
この辺りの史実とのちょっとしたズラシは元ネタがある作品ならではの楽しみで、とても新鮮に感じました。


忘れてはならないのが、ここ最近の演劇界にとって死活問題である新型コロナの件です。

実は初日のマチソワ後に大学の学生支援センターからイベント自粛の勧告を受けており、残りの公演が打てるかどうかは2日目の朝になるまで分からない状態でした。
劇団としてできる最大限の配慮をして、お客様にもマスク着用やアルコール消毒等のご協力を賜り、辛うじて実現した土曜日の公演から、この作品は別物となっていました。その状況になって、よりこの芝居の痛烈なメッセージ性が強まったように感じたのです。

「のちの世、人はみな、(中略)些細なる目茶目茶のひとつすら許されず、唯一、非日常の目茶目茶が許される筈の祭りすら管理されるようながんじがらめの社会の中で窒息するのだ。」

というJ.Cの台詞は、まさに全国で公演中止の相次ぐ今日の世相を言い当てているようで、幕裏で聞いていてぞっとするほど重たく響きました。

「がんじがらめの社会の中で窒息するのだ」この台詞をJ.C役の本田哲男は本当に窒息しそうな声色で発していたのですが、千穐楽だけ吠えるように叫んでいたのがとても印象的でした。何故そうしたのか本人に聞いても覚えてなさそうなので聞いていませんが、私自身、ひいては座組全体の「窒息してたまるか」という思いが台詞に乗ったようでハッとさせられたなあと思い返しております。

おそらく筒井先生が最も言いたかったであろうJ.Cの最後の台詞、
「今後、世の中が息苦しくなるたびに、必ずその社会を馬鹿にし、目茶目茶をやり、ひとを笑わせるやつがあらわれるだろう。いつの世にも、どこの国にもだ。そいつのために人は日常の世界から非日常の世界に引き戻され、危うく息つぎができ、社会は精神の均衡を取り戻すだろう。しかし結局は、やりすぎのためにそいつは世の非難をあびる。だが、いかに非難を浴びようと、たとえ抹殺されようと、そいつは生まれ変わり死に変わり、いつでも、どこへでも必ずあらわれることだろう。それがわたしだ。」

ちっぽけな日本の隅っこでこの芝居を打つくらいでは社会の精神の均衡になどなんの影響も及ぼすことはできませんが、「マスクで息苦しい毎日も少しは楽になりました」というご感想を頂けたことが我々にとって何よりの救いであると思っております。



作品の話は以上です!長々とお読み頂きありがとうございました。

数年前に参加した演劇集団Q社会への島流し引退公演『阿呆船』で演出の南里さんが「阿呆船」考というネタバラシと解説のブログを書かれていたのがかっこよかったので、ただ真似しました。

思えば『阿呆船』みたいなことがやりたいという思いで演出した引退公演『盲人書簡(上海篇)』ですが、その観劇をきっかけにQへ入団したという劇団員が今回の座組にいました。シンプルに嬉しい!
迷惑かけてばかりのクソザコ演出ですまんかった〜!後輩に恵まれ、後輩に助けられ、幸せな座組でした。ありがとう。同期のお前たちもありがとう。

もう数ヶ月すれば彼ら彼女らの公演を観て、これは!と思った劇薬みたいな大学生たちが入団してくるのでしょう。Qに入る人間はQに入るべくして入ってくるのであって、スタンド使いはスタンド使いにひかれ合う的なあれだと思います。何も心配せずとも向こうから勝手にやってくるでしょう。みんなプリキュアだ。わたしもプリキュアだ。

新歓公演は4/24日(金)~4月26日(日)だそうです!私の代わりにぜひ見届けてあげてください。

というわけで、もうこのブログに書くことはありませんし、もうこのブログを書くこともありません!終わりで〜す!お疲れちゃんでした!



パウ