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同志社大学を中心に活動する学生劇団、演劇集団Qの日記
なぜオレはあんな無駄な時間を
2010年11月07日 (日) | 編集 |

こんにちわ。おっさんことかきうちです。
今夜は演出さん御二方が『僕の私の(演劇)初体験』を赤裸々に語っておられるので、せっかくですからわたしも便乗して語ってみようと思います。

わたしが初めて演劇を見たのは高校一年生の時でした。高校一年生と言えば、第一志望の公立高校に胸躍らせ入学した矢先、中学時代の部活の先輩にほとんど詐欺のように剣道部にひきずりこまれ、ナチス支配下のドイツ若しくは第三帝国のような世界で奴隷生活を送っていたころです。顧問と言う名のヒットラー、先輩と言う名の親衛隊・・・軍人フェチにはたまらん茶番劇だぜと思いこもうとしながらも愚かなわたしはそこまでポジティブにもなりきれず、竹刀片手に泣き明かした夜も一夜ならず二夜三夜。一か月に二度めぐってくる戦士の休息日(オフ)はなにものにも触れずただ部屋に閉じこもり昏々と眠るだけ、刺戟のかけらも感じられないような不毛な日々でした。

しかし、その生活にある衝撃の刃がそそがれました。

そう、あれは暑い夏の日でした。三十五度を超えるサウナのような道場で、全身を紺の分厚い胴着で包み、さらにその上から防具をつけて暴れまわるという不条理極まりない夏の狂宴をこなした後、燦々と降り注ぐ日差しの中を、えっちらおっちら、汗だくのカッターシャツにボロボロの下着が透けるのにも構わず、わたしはようやく家へ辿り着きました。すると玄関からなにやらいいにおいがするではありませんか。消化液が悲鳴を上げるほど空っぽになった胃の逆鱗を逆撫でするような、溽暑によって渇ききった口内が唾液でたっぷりと潤うような、それこそたまらなく芳醇な香りです。よく考えると、その時時刻は二時半をすこし回ったころでした。昼飯にはちょうどよい時間だったのです。

「この先に飯がある!」・・・わたしは捕食者の目を光らせてリビングのある二階への階段を駆け上がり、テーブルの上で生贄に甘んずるインカの乙女のようにひっそりとわたしを待ちうける昼食の前に躍り出ました。そこにあったのは、果たしてイカ飯でした。イカ飯と対峙したわたしは、母の言うおかえりの言葉も聞こえず、床に足の根が伸びたように硬直して立ちつくしていました。額から流れ落ちる汗が睫毛をこぼれおち、わたしの視界を濡らしていました。リビングの中央に設置された猫を模した玩具のついた時計が、チック、タック、とわたしのはげしい脈拍と同調するように鳴っていたのを、今も鼓膜に覚えています。普段のわたしなら、地位も名誉も何もかもかなぐり捨てて、イカ飯に飛びつき、貪り喰ったでしょう。

しかし、わたしはその一瞬間のうちに、そのイカの悲劇を知ったのです。

確かに、母は汗水流して働いた金でイカを購入し、腹をすかせた娘のために、やむなくそれを調理したのでしょう。その是非はわたしには問うことができませんが、今までに誰か一人でもイカの立場に立って考えた人間はいるでしょうか?自分の意志とは無関係に産み落とされ、それも自身のさだめと知ってか知らずか、真摯に過酷な海を生きていたこのイカ。それが突然、肌色をした不気味な生物にとらえられたかと思うと、使い捨ての生理用ナプキンよりも軽々しく無残に殺され、安物のトレーに見知らぬ他イカとともに詰め込まれ、白い蛍光灯の下にさらされた挙句、あろうことか内臓とともに足を引き抜かれ、そこへイカとは全く違う環境で育てられた、異物ともいえるコメを詰め込まれたのです。その悲劇をわたしたちはシェイクスピアのロミオとジュリエットのそれにたとえることはできません。三井寿が陵南戦で二年間のブランクを嘆くそれにたとえるこはできません。そのわれわれの想像を絶する深い絶望、挫折、苦悩!・・・打ちひしがれたわたしはいつの間にか箸を持ち、静かにその悲劇の味をかみしめていました。それはイカの味ではありません。コメの味でもありません。わたしは心臓を握りつぶされるような痛みを持って、イカ飯という、ひとつの精神的なかなしみの血肉を完全に食べ終えました。

それが、幼すぎたわたしにとって、劇的なものとの初めての対面となりました。

それから一週間か一カ月か、あいまいな記憶になりますが、とある凄腕演出家の芝居を観に行きました。そしたらはまって、演劇がしたくなって、さらに部活が嫌になりました。


そして今。
三年の時を経て、ついにわたしは念願の演劇サークルに入ったのです!たのしいです!わあーい!

さて、松田君がセンスのある文章などというので緊張してしまいました。
ところで、イカ朗報です。違った、以下朗報です。そうです。またまたQにあたらしくゆかいな仲間が増えたのです。詳細は追々分かっていくことでしょう。しかしまあ、こんなに濃いメンバーが集まるってすごいですね。わたし、埋没する。やばい。

ではお次は、鞄にボックスティッシュを常備している新団員岩村君ことがんちゃん、そうです、あの、UFO(焼そば)の甘いキャベツが許せない新団員岩村君ことがんちゃんにお願いしたいと思います!
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コメント
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「血肉を完全に食べ終えました」まで読んだよ。
2010/11/07(日) 22:31:27 | URL | ぐりら #-[ 編集]
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